HSPの特徴を表すキーワードとして、「DOES」という頭文字を使った言葉があります。その一つ、D:深く感じる(Depth of processing)を説明したいと思います。
D:深く感じる(Depth of processing)
HSPは、他の人よりも情報を深く処理する傾向があります。視覚的、聴覚的、嗅覚的、触覚的、味覚的な情報に敏感であり、世界をより多角的に認識することができます。
HSPは、自らが受け取る情報を深く処理するため、高度な思考力や分析力、洞察力を持つことがあります。繊細で緻密な思考をすることができ、複雑な問題や状況に対しても深い洞察を持って取り組むことができます。
表現する意見やアイデアは、より深い理解と洞察に基づいていることがあり、そのため、貴重な知見を提供することができます。
また、HSPは、感情や感覚に敏感であるため、普通の人が気づかない微妙なニュアンスや意味を読み取ることができます。それにより、非常に正確で詳細な情報を提供し、情報の理解に欠かせない細かい部分を見落とすことがなくなります。
そのため、意見やアイデアは、より多面的で緻密なものとなり、結果としてより深い理解を生み出すことができるのです。
なぜ HSPは、深く感じる(Depth of processing)のでしょうか
HSPが深く感じる理由は、脳の構造や神経系の働きによるものです。
HSPは、生まれつき感受性が高く、外界からの刺激により刺激を処理するための神経系が、一般的な人々と比べて敏感であり、深く反応します。この過敏性は、脳内の「観察・判断・反応」といった機能を制御する脳内物質であるノルアドレナリンの分泌と関連しています。
ノルアドレナリンは、情報処理と認知的な機能を制御する神経伝達物質であり、HSPはこの物質の分泌がより多くなることで、より多くの情報を処理し、深く感じることができるようになるのです。
HSPが繊細な人である理由について、遺伝的な要因が関連していると考えられています。セロトニンの遺伝子や、ドーパミン受容体の遺伝子が、神経系の機能に影響を与えることが示唆されています。これらの遺伝子の異常が、HSPの神経系に影響を与え、情報処理において繊細な反応を示すことが考えられています。
また、HSPの脳の構造的な特徴についても、研究が行われています。視覚情報処理部位である視床下部、視床、嗅球、扁桃体などの活動が、HSPでは一般人に比べて高いことが報告されています。また、海馬や前頭前野などの脳の部位のボリュームが大きいことが示唆されており、これらの領域が情報の処理に関わることが示唆されています。
HSPの生育環境についても、研究が行われています。HSPの場合、生育環境において、ストレスやトラウマが多かったという報告があります。このような環境下で育ったHSPは、神経系の発達に影響を受け、情報処理に繊細な反応を示すようになったと考えられています。
しかしながら、HSPについてはまだ研究が進んでいる段階であり、具体的な理由やメカニズムは完全には解明されていません。より詳しい研究が必要とされています。
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