認知行動療法(CBT)は、問題の原因となる考え方(認知)や行動に焦点を当て、それらを変えることで問題を解決する治療法です。CBTにはいくつかのアプローチがありますが、その中でもコラム法は、考え方を変えることによって、気分や行動を改善する方法の一つです。
コラム法は、問題のある考え方を見つけ出し、それを分析し、現実的な考え方に変える方法です。以下は、ブログでコラム法を説明するためのステップです。
①出来事を書く
・明日20人の前でスピーチする
・明日は社長も出席する
・部長から「しっかりやれよ」と言われた
*記入のポイント
不安な気持ちが思い浮かんだシュチエーションを具体的に書きましょう。あくまで客観的な状況を書いていくのがコツです。5Wを意識して記入しましょう。
②気分を書く(%)
・緊張(70%)
・恐怖(40%)
・不安(60%)
*記入のポイント
感情の強さを0~100%の数値で書き込みましょう。感覚的な数値でOKです。
③問題のある考え方を見つける
まず、自分がどのような考え方をしているかを考えます。例えば、試験前に「自分はこの科目が苦手だから、必ず落ちる」と考えている場合、これが問題のある考え方です。
③ー1自動思考を書く
自動思考とは、「出来事に直面した時、頭の中に浮かんでくる思考やイメージ」を指します。例えば以下のような考え方が挙げられます。
「失敗したらどうしよう」
「ミスしたら評価が落ちるに違いない」
「皆から笑われるかもしれない」
*記入のポイント
①で書いた不安な出来事に直面した時、瞬時に浮かんだ思考を書きだしましょう。また自動思考には認知の歪みが関わっていることがあります。
③ー2考え方を分析する
次に、その考え方がどのように感情や行動に影響を与えているかを分析します。例えば、試験前に不安や緊張が強くなり、勉強することをやめたり、試験で失敗した場合に落ち込んでしまうことが考えられます。
③ー3自動思考の根拠
・スピーチする時は高確率であがってしまう
・以前、自分の発表でクスクス笑っている人がいた
*記入のポイント
③ー2で挙げた自動思考を裏付ける客観的な事実を書きます。主観的なことや推論は書かないように注意しましょう。
④現実的な考え方に変える
最後に、現実的な考え方に変えます。例えば、「この科目は難しいかもしれないけど、私は最善を尽くして勉強したので、試験で上手にやり遂げられる」というように考え方を変えることで、自信を持って試験に臨むことができます。
④ー1自動思考の反証
・あがっていてもスピーチはできる。
・自分のことを笑っていた確証はない。
・単純に隣の人と雑談していただけかもしれない。
・緊張しつつも気持ちを伝えることはできる。
*記入のポイント
自動思考とは逆の事実を書きます。こちらも主観的にならず、冷静に客観的に事実を探していきましょう。
⑤適応的思考を書く
・多少はあがっても経験を積めたからOKと考えよう。
・確かに緊張するかもしれないけど、自分の気持ちを伝えることに集中しよう。
・人前に立てるだけでも充分成長だ。
*記入のポイント
よりバランスの取れた現実的な思考を考えていきます。現実的なマイナス面を書いたあと、「しかし~」「ただ~」を活用して、プラス面を書いていくのがコツです。考え方を増やすコツは認知療法コラム①で解説しました。うまく発想できない方は参考にしてみてください。
⑥今の気分を書く(%)
・緊張(40%)
・恐怖(30%)
・不安(50%)
*記入のポイント
再び、気分を再確認していきます。③の自動思考が誤ったものであれば、ネガティブ感情が小さくなっているはずです。
このように⑥つのステップを踏んで考え方を柔らかくすることで、マイナスな感情を減らしていきます。
適応思考の見つけ方
また、認知行動療法では、患者さんの思考パターンを特定し、それらを適応的な思考パターンに変えることを目的としていますが、なかなか適応思考が出来ない場合は下記のような質問方法がよいと思います。
ネガティブな自己評価をしている場合
あなたは自分自身についてどのように考えていますか?
どのような事実から、その考えが正しいと思いますか?
それに代わる、よりポジティブな考え方はありますか?
過度な心配や不安を抱えている場合
どのようなことが起こるか、具体的にイメージしてみてください。
その状況が起こった場合、あなたはどのように対処しますか?
その状況について、過去にどのように対処した経験がありますか?
自分を責める傾向がある場合
あなたはどのようにして、その状況に関与していたのですか?
それはあなただけの責任だったのですか?
他にどのような要因があったのだと思いますか?
これらの質問を通じて、クライアントさんが自己評価や不安、責任転嫁などの誤った思考パターンに気づくことができます。適応的な思考パターンを促進するためには、自分自身や状況を客観的に見ることが重要であり、適切な質問を通じてそれを促すことができます。ただし、プロセスは個々の状況に応じて異なりますので、専門家の指導を受けることが大切です。
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